契約社員と働いているが、妊娠を期に「仕事を退職したい」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、契約社員には就業規則だけでなく「契約期間」という定めもあるので、退職の手続きに苦慮することもあるかもしれません。
今回はそんな時に役立つ情報についてまとめてみました。「契約社員として働いている方」や「妻が契約社員だが妊娠による退職を検討している」という方はぜひ参考にしてみてください。
■目次:
1.契約社員の退職手続きの方法
2.契約社員が退職を申し出るベストな時期は
3.契約社員が妊娠や出産を機に退職する割合は
4.妊娠による退職を申し出る際の注意点
■1.契約社員の退職手続きの方法
そもそも契約社員は、どのような手続きを踏めば退職することができるのでしょうか?
契約社員の退職時の手続き自体は、基本的に正社員と同じです。法律や会社の就業規則の定めに沿って退職手続きをすることになります。
しかし、退職の条件として正社員と契約社員で大きく異なる部分が一つあります。 それは「契約社員の契約期間中の退職は原則できない」ということです。
ただし以下に提示する事由に当てはまる場合には「労働基準法第137条」において契約期間中であっても退職することができるとされています。
・同じ会社で契約社員として1年以上勤務している場合
・勤続1年未満でもやむを得ない理由がある場合
この「やむを得ない理由」には、法令違反や契約違反、ハラスメントやいじめ、本人の心身の病気などが当てはまります。また、これらの理由に該当しなくても、会社に相談し双方の合意があれば勤続1年未満であっても退職することが可能です。
妊娠による退職を検討している契約社員の方は、とにかく事業主や上司に一度相談してみると良いでしょう。
■2.契約社員が退職を申し出るベストな時期は
では、契約社員が退職を申し出る「ベストな時期」とは一体いつなのでしょうか。
契約社員が退職を申し出るベストな時期は「契約期間満了時」だと言えます。 その理由は、契約社員は一般的に、契約期間満了が近づくと面談を行い「契約の更新か退職か」という希望を確認されるからです。
契約社員の意思なしに勝手に契約更新を行うことはできないので、ここで退職の意思を示せばスムーズに退職手続きを進めることができるでしょう。
ただし、妊娠のタイミングを退職時期にうまく調整できればそれでよいが、そううまくいかないことも多いと思います。そのため、妊娠を機に退職希望を出すときは前述の通りまず上司や事業主に相談してみることをおすすめします。
■3.契約社員が妊娠や出産を機に退職する割合は
夫婦や家族にとってビッグイベントである妊娠や出産ですが「妊娠や出産を機に仕事を退職する」という人はどのくらいいるのでしょうか?
内閣府がまとめた「第一子出産前後の女性の継続就業率動向関連データ集」によると、46.9%の女性が出産を機に退職していることが分かりました。
出産後も就業を継続すると答えた人は53.1%だったので「出産を機に仕事を続ける人と辞める人の割合は、ほぼ五分五分である」と言えるでしょう。
ただし「出産後も就業を継続する」と答えた有職者は、正規職員として勤務している割合が多かったため、契約社員に限ると「妊娠・出産を機に退職する」という人の割合は増加するでしょう。
そのことを裏付けるように「末子妊娠時の就業形態別末子妊娠・出産時の退職理由」の調査では「家事・育児に専念するために自発的に仕事を辞めた」と答えた女性は正社員では29.0%、非正規社員では41.2%という結果になりました。
やはり妊娠や出産を機に仕事を退職するという契約社員の割合は、正規職員に比べてかなり高いようです。
■4.妊娠による退職を申し出る際の注意点
契約期間中に妊娠した場合「妊娠を機に退職したいが、上司や事業主に退職の申出を言い出しにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、妊娠が上司や事業主に知られないままになっていると、部署の人員配置や人事異動などで、母体にとって負担が大きい仕事を回されることになってしまうかもしれません。
また、会社としても新しい組織づくりを進めている中で、土壇場になって退職の申出をされると対応に苦慮してしまうこともあるでしょう。
言い出しにくいからといって、あとあとになって妊娠した旨を上司や事業主に伝えてしまうと、結果的に母体にとっても会社にとっても、余計なストレスや負担のきっかけとなってしまうことも有り得ます。 そのため、妊娠した際には退職希望の有無を問わず、上司や事業主に早めに伝えて、早めに対応すると良いでしょう。
■まとめ
妊娠・出産は夫婦や家族にとって、最重要事項となり得る出来事です。 「妊娠や出産に伴い、家事や育児に専念するために退職を検討している」という契約社員の方は、心身に余計な負担をかけないためにも、早めに上司や事業主に妊娠した旨を伝えることをおすすめします。
■参考:
「労働基準法第137条(電子政府の総合窓口e-Gov)」
内閣府 「第一子出産前後の女性の継続就業率」動向関連データ集http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_39/pdf/ss1.pdf
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