「私たちの若い頃は先生や親に体罰を受けて育ったものだ」と言う方も多いのではないでしょうか。
私もその一人で、学生時代は親や先生に殴られたり、吊るされたりしていました。
しかし、昔と今とでは社会における体罰に対する捉え方が異なる部分もあります。今回はそんな体罰についてまとめてみました。
■目次:
1. 体罰は必要か?体罰に賛成している人の割合
2. 学校での体罰は、法律でどのように定められている?
3.どこからが体罰になる?
■1.体罰は必要か?体罰に賛成している人の割合
「愛の鞭」や「体に教える」といった表現は昔からありますが、体罰が必要だと感じている人は、今どのくらいいるのでしょうか。
女性セブン読者からなる「セブンズクラブ」の会員410名を対象に行ったアンケートでは、教育やしつけという名目の体罰に賛成と答えた人は38.8%で、反対と答えた人は61.2%という結果になりました。
また、日本経済新聞がインターネット上で子どもを持つ男女1万人と子どもを持たない男女1万人に体罰に関するアンケートを実施したところ、しつけのために体罰を行うことに対して「積極的にすべきだ」が1.2%、「必要に応じて」が16.3%。「他に手段がないと思った時のみ」が39.3%と、容認する人の割合は約6割になりました。
一方、「決してすべきではない」と回答した人も43.3%ましたが、このうち4割以上が「おしりをたたく」「手の甲をたたく」という行為については容認する結果となりました。
また、0~18歳の子どもを育てている1030人に「しつけの一環として子どもをたたいたことがあるか」と尋ねたところ、「ある」と答えた人が70.1%いう結果になりました。
最近では体罰に反対する声も方々から聞こえますが、体罰を肯定している、必要だと感じている人もまだまだ多いようです。
■2.学校での体罰は、法律でどのように定められている?
では、学校においては、体罰はどのように扱われているのでしょうか。
学校教育法では、体罰は禁止とされていて「いかなる場合も体罰を行なってはならない」と定められています。 体罰とは教師から生徒に対して肉体的苦痛を与える行為であり、廊下に立たせる、罰として強制的な運動を課す、殴る、蹴るなどが体罰としてあげられます。
■3.どこからが体罰になる?
前述のとおり、学校では一切の体罰が禁止とされていますが、どこからが体罰行為にあたるのでしょうか? 文部科学省は体罰の例を以下のように示しています。
○ 身体に対する侵害を内容とするもの
・ 体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を足で踏みつける。
・ 帰りの会で足をぶらぶらさせて座り、前の席の児童に足を当てた児童を、突き飛ばして転倒させる。
・ 授業態度について指導したが反抗的な言動をした複数の生徒らの頬を平手打ちする。
・ 立ち歩きの多い生徒を叱ったが聞かず、席につかないため、頬をつねって席につかせる。
・ 生徒指導に応じず、下校しようとしている生徒の腕を引いたところ、生徒が腕を振り払ったため、当該生徒の頭を平手で叩(たた)く。
・ 給食の時間、ふざけていた生徒に対し、口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけ、生徒に当てる。
・ 部活動顧問の指示に従わず、ユニフォームの片づけが不十分であったため、当該生徒の頬を殴打する。
○ 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
・ 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
・ 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
・ 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。
一方、以下の行為は正当なものとして示されています。
○ 児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使
・ 児童が教員の指導に反抗して教員の足を蹴ったため、児童の背後に回り、体をきつく押さえる。
○ 他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使
・ 休み時間に廊下で、他の児童を押さえつけて殴るという行為に及んだ児童がいたため、この児童の両肩をつかんで引き離す。
・ 全校集会中に、大声を出して集会を妨げる行為があった生徒を冷静にさせ、別の場所で指導するため、別の場所に移るよう指導したが、なおも大声を出し続けて抵抗したため、生徒の腕を手で引っ張って移動させる。
・ 他の生徒をからかっていた生徒を指導しようとしたところ、当該生徒が教員に暴言を吐きつばを吐いて逃げ出そうとしたため、生徒が落ち着くまでの数分間、肩を両手でつかんで壁へ押しつけ、制止させる。
・ 試合中に相手チームの選手とトラブルになり、殴りかかろうとする生徒を、押さえつけて制止させる。
このように、正当防衛、暴力行為を行う子どもを抑える、他の子どもへの暴力行為を防ぐ、危険な行為を制止するという場合には、体罰ではなく正当な行為として認められるようです。
■まとめ:
「体罰が必要か不要か」ということや「どこからが体罰にあたるか」ということについては、意見が分かれるところでしょう。 しかし体罰を受けた子どもは、脳の発達において悪影響を受けてしまうことがあります。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
■参考:
N E W Sポストセブン 体罰に関するアンケート調査 https://www.news-postseven.com/archives/20171014_620684.html
文部科学省 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331908.htm
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