『学校』と一言にいってもその形態は様々で、学校には
・一般的な公立学校 ・公立学校に通うことができない人を支援するためのフリースクール ・外国との繋がりを重視するインターナショナルスクール ・少人数制での教育を大切にするマイクロスクール
などがあります。今回はそんな学校の種類について紹介します。
■目次:
1.フリースクールとは?
2.インターナショナルスクールとは?
3.マイクロスクールとは?
1.フリースクールとは?
文部科学省はフリースクールを以下のように定めています。
フリースクールとは、一般に、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設を言います。 その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されています。平成27年度に文部科学省が実施した調査では、全国で474の団体・施設が確認されています。(参考:フリースクール・不登校に対する取組)
このようにフリースクールは、不登校児童の支援を目的として設置されています。
フリースクールに通う時間、フリースクールで学習する内容は
・子どもの特性や理解度
・近接学校のカリキュラム
・フリースクールの支援員の采配
などにより、臨機応変に設定されます。
また在籍している公立学校に行くことができない場合でも、フリースクールは『出席及び通室配慮の対象施設』となっている場合もあります。例えば、神奈川県は『学校・フリースクール等連携協議会』を設置しており、そこに参加しているフリースクール団体は『出席及び通室配慮の対象施設』となっています。
フリースクールと一言にいっても、料金や実施形態などは様々なので、通うことを検討されている方は、近隣のフリースクールに直接お問い合わせください。
2.インターナショナルスクールとは
インターナショナルスクールはその名の通り、国際的な力や異文化体験・理解、外国語の理解・活用などに力を入れている学校を指します。
インターナショナルスクールには、明確な法令上の定義はありませんが、文部科学省はインターナショナルスクールを以下のような施設であると捉えています。
いわゆるインターナショナルスクールについては、法令上特段の規定はありませんが、一般的には主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設であると捉えられています。(参考:学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について)
ここでは『外国人児童生徒を対象とする教育施設である』とされていますが『日本人が日本国内のインターナショナルスクールに在籍している』というケースも多くあります。
前述の通りインターナショナルスクールでは、国際的な力や異文化体験・理解、外国語の理解・活用などに力を入れるといった、各校の理念や特色を生かした学習活動が行われています。そのため『国際的な能力を伸ばしたい』『英語力に特化した学習を行いたい』といった明確な目的がある場合には、希望に合ったインターナショナルスクールへの入学を検討しても良いでしょう。
ただし、インターナショナルスクールに通う際には次の2つのことに留意する必要があります。
①インターナショナルスクールに通っても、修学義務を履行したことにならない場合がある
文部科学省は、インターナショナルスクールに通った場合の就学義務について、次のように示しています。
インターナショナルスクールの中には、学校教育法第1条に規定する学校(以下「一条校」といいます。)として認められたものがありますが、多くは学校教育法第134条に規定する各種学校として認められているか、又は無認可のものも少なからず存在しているようです。 一方、学校教育法第17条第1項、第2項には、学齢児童生徒の保護者にかかる就学義務について規定されています。そこでは保護者は子を「小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部」、「中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部」に就学させると規定されています。よって、保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません。
つまり、各種学校扱い・無認可のインターナショナルスクールに6年間通ったとしても、小学校6年間の就学義務を履行したことにはならないということになります。さらに、
学校教育法においては、小学校等の課程を修了した者が中学校等に進学することを予定しています。これは、同法第45条に規定しているように、中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的としているからです。 このことを踏まえると、例えば一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります。インターナショナルスクールの中学部の途中で我が国の中学校へ編入学を希望する場合も同様です。
とされていることから『小学校での就学義務を履行できていない場合には、一般の中学校への入学ができない場合がある』ということも留意すべきポイントでしょう。
こうした事態に対応するために、学校に許可をもらった上で、学籍は近隣の公立小学校に置き、実際にはインターナショナルスクールに通うという対応をしている家庭もあるようです。この場合、学籍を置いている公立小学校では不登校扱いとなることが多いですが、詳しくは近隣の小学校にてご確認ください。
②学費が高額になる
インターナショナルスクールは独自の学習活動を行う特性から、学費が高額になることがあります。例えば、学校が外国人講師を複数人雇っていたり、海外への校外学習などを積極的に実施していたりする場合には、学費が高額になってしまうでしょう。
また、認定を受けていないインターナショナルスクールに通っている場合には、国からの補助金がもらえない場合も多く、給食費や教科書代なども嵩み、年間200万円以上の費用がかかってしまうこともあります。
インターナショナルスクールへの入学を検討している方は、就学義務の問題と学費の問題に対して正しく理解した上で、事前準備しておくと良いでしょう。
3.マイクロスクールとは?
マイクロスクールとは一般的に『少人数制の中で、個別最適化された学習を提供する学校』を指します。
世界初のマイクロスクールであるActon Academyは2009年に創られたものなので、マイクロスクールは新しい学校の概念であると言えるでしょう。
このマイクロスクールという概念は日本でも少しずつ浸透しており、マイクロスクールの名を掲げる学校も現れてきています。
具体的には、『Gift School』や『東京コミュニティスクール』などがマイクロスクールとして運営されています。
インターナショナルスクールと同じく、マイクロスクールの学習方法や学習内容にはそれぞれの学校の特色があり、Gift Schoolは『3〜15歳、定員30名の中で、個別・ペア・グループなど様々な形で流動的に学ぶ』という学習方法を実践しています。
また、公立の学校は文部科学省が交付する『学習指導要領』に準拠した学習を行うことが義務付けられていますが、Gift Schoolは学習指導要領を参考にしながらも、国内外の様々な学習カリキュラムや労働市場のあり方、子どもの個性などをもとに『学習をデザインしていく』としています。
新しい学校の概念として注目される『マイクロスクール』ですが、インターナショナルスクールと同じく、現行の法令上では明確な定義がありません。また、独自の学習カリキュラムを行なっていることから、インターナショナルスクールと同じく
マイクロスクールに通っても、修学義務を履行したことにならない場合がある
学費が高額になる場合がある
ということに留意しておく必要があるでしょう。
前述の通り、マイクロスクールは学校によって大切にしていることや学習方法などが異なるため、気になる方は、実際にマイクロスクールに問い合わせをして体験をしてみたり、心配事を確認してみたりすることをお勧めします。
■まとめ:
時代の変化とともに、学校へのニーズも変わってきたことから、現在は様々な学校の形態があります。子どもの特性や学校に求めるもの、予算などを踏まえた上で、最も良い学校を選択していけると良いでしょう。
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