前回は『こんな基準で仕事を選んではいけない』ということについて紹介しました。今回は逆に『どんな基準で仕事を選ぶと良いのか?』ということについて紹介していきます。将来の仕事に悩んでいる方や転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次:

1.裁量権(自分で決められる部分)はどの程度あるか

2.進歩している感覚があるか

3.自分の性格タイプにあっているか

4.内容と報酬が明確か

5.業務内容はバラエティに富んでいるか

6.自分と似た人(仲間)がいるか

7.自分の行動が他人に影響を与えているか

8.7つの基準に得点をつけて、適職を判断しよう!

 

1.裁量権(自分で決められる部分)はどの程度あるか

仕事は上司からの命令で行うものから、自分で決めて取り組むものまで多岐に渡ります。ですが、作業内容・ペース・場所・タイミングなどを全てガチガチに決められてしまうと、自分で考えたり行動したりできる部分が無くなってしまい、窮屈に感じたり退屈に感じたりしてしまいます。

例えば『保育園のロゴを作ってください』という依頼が来たとします。

この時に、

★『うちの保育園は『仲良し』を大切にしているので『仲良し』をイメージしたロゴにしてください。モチーフは動物でお願いします。それ以外はお任せします』

と言われるのと

★『うちの保育園は『仲良し』を大切にしているので『6匹の動物が肩を組んでいる絵』にしてください。動物はオス3体、メス3体で。熊2頭、うさぎ2羽、象2頭でお願いします。象の色は必ず薄めのグレーでお願いします。熊には爪はかかないでください。あとうさぎの耳の長さは必ず5cmにしてください。毎日3時間、必ず保育園にきて専用の部屋で作業してください。その時は飲食やスマホは禁止です。』

と言われるのでは、同じ仕事を受けていても、裁量権(自分で決められる部分)が大きく違うことがわかります。

前述の通り、この『裁量権』は、仕事のモチベーションに大きく関わる部分なので『裁量権はどの程度あるか?』ということを判断基準の1つとしておくと良いでしょう。

 

2.進歩している感覚があるか

自分が何かをした時に、達成感を感じたり、肯定的なフィードバック(いいね!よかったよ!ありがとう!と言った反応)を貰えたりすると、成長している感覚や進歩している感覚があるでしょう。

反対に達成感が得られない、フィードバックが貰えないと、進歩している感覚を得られません。

例えば『料理を作る仕事』をしていて、作った料理をお客さんが目の前で『おいしい!おいしい!』と言いながら食べて、食べ終わった後に『美味しかったです!また来ます!』と言ってくれたら、達成感を得られるでしょう。

逆に『キッチンの奥で誰が食べるかも分からない食事を作り、戻ってきた皿を洗うだけ』を繰り返していると、達成感や成長している感覚を感じることは、なかなかできないでしょう。

達成感や成長している感覚を得られないと、退屈に感じてしまったり、無気力になったりしてしまいます。

そのため、就こうとしている仕事は『進歩している感覚を得られるか?』や『達成感、成長している感覚を得られるか?』ということを就職の判断基準の1つとすると良いでしょう。

 

3.自分の性格タイプにあっているか

人間には、2つの性格パターンがあります。

1つ目は攻撃型で、スピードを重視し『最高の状態を目指しいち早くやる』という考え方を大切にします。

2つ目は防御型で、安定性を重視し『最悪の状態を想定してリスクを避け、行動すること』を大切にします。

自分はどちらの型か?ということを理解した上で、自分の型に合った仕事に所属すると良いでしょう。

攻撃型の人は、クリエイター、IT、テクノロジーなど変化の速い仕事に、

防御型の人は、経理、弁護士、データアナリストなど、丁寧に情報やデータを扱う仕事に所属すると、自分の性格タイプを生かすことができます。

 

4.内容と報酬が明確か

amazonでは『●●をしたら昇給、昇格』という評価基準が明確になっており、社員はその評価基準を達成するための働き方やアイデアを考え、実践しています。

Amazonのように『○○をしたから△△になる』といった評価基準が明確になっていると『それに向かって頑張ろう!』と思うことができます。

ですが、逆に評価基準が明確でないと『何をどうしたら良いのか』や『どう頑張ったら良いのか』ということが分からなくなってしまいます。

例えば学校で『なんかよく分からんけど評価にCがついている』や会社で『あいつ、全然仕事してないのに、なんかよく分からんけど上司に気に入られたから昇給した』ということがあると『何を頑張れば良いのか?』や『どうしたら良いのか?』ということがはっきりと分からず、不満やモチベーションの低下につながってしまいます。

そのようなことにならないためにも『内容と報酬が明確になっているか?』ということは、仕事に就く上での判断基準の1つとしておくと良いでしょう。

 

5.業務内容はバラエティに富んでいるか

ディズニー映画などで有名なアニメーションスタジオの『ピクサー』は、以前は衣装担当の人は衣装デザインのみをし、キャラクター担当の人はキャラクターデザインのみをするといった具合で、完全分業制度を採用していました。

しかし、一時期社員の離職や引き抜きが続いたことから、ピクサーは『ピクサーユニバーシティー』という制度を始めました。これは、自社の中で他の仕事を無料で学ぶことができるという制度です。

例えば、衣装担当の人が営業の知識を学んだり、キャラクターデザインの仕事を学んだりできるという仕組みです。

これにより、ピクサー社員は様々な仕事に触れることができるようになりました。その結果、ピクサー社員の幸福度は向上し、離職率も低下しました。

仕事を効率化する上で、分業は重要なシステムになりますが、一つの仕事だけを延々とやっていると、どうしても飽きがきたり、モチベーションが低下してしまったりします。そうならないよう、仕事を選ぶ上では、バラエティ性に注目することも大切になるでしょう。

 

6.自分と似た人(仲間)がいるか

アメリカの世論調査機関ギャラップ社が500万人を対象に行なった幸福度調査によると、友達が職場に3人以上いる人と、そうでない人を比べると、人生の満足度が96%違うということが分かりました。

また、同じ給与を貰っていても、友達が職場に3人以上いる人は、そうでない人に比べて給与に対する満足度が200%高いことも分かりました。

何というぶっ飛んだデータなんだ、と思いますが『職場に友達がいるかどうか』ということで、人生の幸福度は大きく変わるということは、科学的に証明されているようです。

しかし、最初から友達になれるかどうか?ということは分からない人も多いのではないでしょうか。そんな時は『自分と似ているか?』ということを判断基準にすることをお勧めします。

人間は、共通の趣味を持っていたり、共通の話で盛り上がったりすると仲を深めるという性質があります(類似性効果)。そのため、就職する前に『職場には自分と似た人がいるか?』ということを見極め、それを仕事を選ぶ上での判断基準の一つとしておくと良いでしょう。

 

7.自分の行動が他人に影響を与えているか

人間は他者に貢献したり、誰かのためになっていると感じたりすると、自尊心や親密性を感じて、幸福感を得るという性質があります。

逆に『自分がしている仕事や活動がなんの役に立っているのか分からない』や『自分は役に立つ仕事をできていない』と思っていると、やる気が無くなったり、モチベーションが下がったりしてしまいます。

【②進歩している感覚があるか】の例と同じですが、例えば『料理を作る仕事』をしていて、作った料理をお客さんが目の前で『おいしい!おいしい!』と言いながら食べて、食べ終わった後に『美味しかったです!また来ます!』と言ってくれたら、作ってよかったな〜と思い、幸福感や満足感を得ることができるでしょう。

逆に『キッチンの奥で誰が食べるかも分からない食事を作り、戻ってきた皿を洗うだけ』を繰り返していると、『これは誰かの役に立っているのか?』ということが分からなくなってしまい、モチベーションが低下してしまうでしょう。

そのため仕事を選ぶ上では『自分の行動が他者に影響を与えられるか?』ということを判断基準の一つとしておくことが大切になります。

 

8.7つの基準に得点をつけて、適職を判断しよう!

ここまで、適職を選ぶ基準について紹介して参りました。

職場や仕事は『職場の雰囲気が良いから』や『ずっとやりたい仕事だったから』など、ついつい抽象的な理由で決めてしまいがちですが、人生に関わる大切な選択であるからこそ、上述したような具体的な基準で選ぶ方が良いでしょう。

では、最後に今まで紹介した7つの基準に実際に得点をつけて、最も良い会社・職場を選んで見ましょう。

重み

(1~3)

A社 B社 C社
①裁量

0~5点

②進歩

0~5点

③性格タイプ

0~5点

④明確

0~5点

⑤バラエティ

0~5点

⑥似た人

0~5点

⑦影響

0~5点

 

合計得点

 

このような票を作ったら、まず、各項目の重みを自分で考えてみましょう。とくに大切だと思うことに3、あると良いものに2、どちらでも良いものに1をつけます。例えば、①の裁量権はとくに大切だと考えるから最高の3、②の進歩性はあまり重要視しないから1などの数字をつけます。

重み

(1~3)

A社 B社 C社
①裁量

0~5点

3
②進歩

0~5点

1
③性格タイプ

0~5点

2
④明確

0~5点

3
⑤バラエティ

0~5点

1
⑥似た人

0~5点

1
⑦影響

0~5点

3
 

合計得点

 

重みの項目をつけ終わったら、実際に会社を評価してみましょう。

3社を見に行ったとして、それぞれA社、B社、C社としています。

評価は0〜5点で行います。例えば、A社は裁量権はあまりなかったので2点、進歩できる実感はかなりありそうなので4点、など評価します。

点数をつけたら、その点数に重みをかけます。自分は裁量権に重みを置いているので、3点をつけていました。A社の裁量権は2点なので、2×3で6点がつくことになります。このように点数に重みをかけて、各社の合計点数を出していきます。

重み

(1~3)

A社 B社 C社
①裁量

0~5点

3

(2×3)

②進歩

0~5点

1

(4×1)

③性格タイプ

0~5点

2

(2×2)

④明確

0~5点

3 15

(3×5)

⑤バラエティ

0~5点

1

(4×1)

⑥似た人

0~5点

1

(3×1)

⑦影響

0~5点

3

(2×3)

 

合計得点

 

42

このように具体的な点数化をして、会社や労働環境を比較することで『最も良いのはどこか?』ということを判断していくことができるようになります。

このようなやり方を見ると『数値化して仕事を選ぶなんて・・!』と思うかもしれません。実際に私も、そんな選び方でいいのか?と思いました。しかし、前述したような『職場の雰囲気が良い』や『ずっとやりたい仕事だった』などに比べたら、かなり具体的な根拠のある、精度の高い意思決定になっていると感じます。

この方法は、実際に米軍の意思決定のやり方として採用されているものです。米軍のお墨付きということもあるので、ぜひこのやり方を実践して、最適な仕事や環境を選んでみてください。

 

まとめ

仕事は自分の人生やライフスタイルに大きく関わるものです。だからこそ、安易な理由で選ぶのではなく、正しい基準で判断することが大切になります。今回は『適職を選ぶ基準』についてまとめましたが『ダメな仕事の選び方』についてもまとめておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

参考:

科学的な適職 鈴木祐