子どもと関わっていると、イライラしたり感情的になったりして思わず手をあげてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、子どもへ手をあげてしまうことは『体罰』となり、法律で罰されてしまうこともあります。今回はそんな体罰についてまとめてみました。子育て中の方や子どもと関わっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

目次:

1.体罰の定義

2.どこからが体罰になる?

3.学校における体罰

 

1.体罰の定義

体罰の定義は、児童虐待防止等に関する法律において、次のように定められています。

(児童虐待の定義)

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

また、令和元年6月には児童福祉法等改正法が成立し、子育て・教育において子どもに体罰を加えてはならないことが法定化されました。

2.どこからが体罰になる?

前述の通り、現在体罰は法律により禁止されています。では、どこからが体罰になるのでしょうか? 厚生労働省「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」では、体罰を次のように定めています。

たとえしつけのためだと親が思っても、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当する。

また、しつけと体罰の違いについては、次のように解説しています。

しつけとは、子どもの人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為 です。子どもにしつけをするときには、子どもの発達しつつある能力に合う方法で行う必要があり、体罰で押さえつけるしつけは、この目的に合うものではなく、許されません。どうすればよいのかを言葉や見本を示す等の本人が理解できる方法で伝える必要があります。

体罰と発達の関係につきましては、以下の記事に詳しく記載しておりますので、よろしければご覧ください。

3.学校における体罰

児童福祉法で体罰が禁止されているのと同様に、学校教育法においても体罰は禁止とされています。しかし、学校においては『児童が他の児童に危害を加えてしまう』場合や『特定の児童が授業を妨害してしまう』場合等があります。そうした状況に対応できるよう、学校における懲戒・体罰は ・体罰と判断されるもの ・懲戒として認められるもの ・正当な行為として認められるもの に分けられています。文部科学省はこれらの参考事例を次のようにあげているので、ご参考ください。

(1)体罰(通常、体罰と判断されると考えられる行為)
  ○ 身体に対する侵害を内容とするもの
 ・ 体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を足で踏みつける。
 ・ 帰りの会で足をぶらぶらさせて座り、前の席の児童に足を当てた児童を、突き飛ばして転倒させる。
 ・ 授業態度について指導したが反抗的な言動をした複数の生徒らの頬を平手打ちする。
 ・ 立ち歩きの多い生徒を叱ったが聞かず、席につかないため、頬をつねって席につかせる。
 ・ 生徒指導に応じず、下校しようとしている生徒の腕を引いたところ、生徒が腕を振り払ったため、当該生徒の頭を平手で叩(たた)く。
 ・ 給食の時間、ふざけていた生徒に対し、口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけ、生徒に当てる。
 ・ 部活動顧問の指示に従わず、ユニフォームの片づけが不十分であったため、当該生徒の頬を殴打する。

 ○ 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの
 ・ 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
 ・ 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
 ・ 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。


(2)認められる懲戒(通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為)(ただし肉体的苦痛を伴わないものに限る。)
 ※ 学校教育法施行規則に定める退学・停学・訓告以外で認められると考えられるものの例 
  ・ 放課後等に教室に残留させる。
 ・ 授業中、教室内に起立させる。
 ・ 学習課題や清掃活動を課す。
 ・ 学校当番を多く割り当てる。
 ・ 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
  ・ 練習に遅刻した生徒を試合に出さずに見学させる。


(3)正当な行為(通常、正当防衛、正当行為と判断されると考えられる行為)
 ○ 児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して、教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使
 ・ 児童が教員の指導に反抗して教員の足を蹴ったため、児童の背後に回り、体をきつく押さえる。 
 ○ 他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使
 ・ 休み時間に廊下で、他の児童を押さえつけて殴るという行為に及んだ児童がいたため、この児童の両肩をつかんで引き離す。
 ・ 全校集会中に、大声を出して集会を妨げる行為があった生徒を冷静にさせ、別の場所で指導するため、別の場所に移るよう指導したが、なおも大声を出し続けて抵抗したため、生徒の腕を手で引っ張って移動させる。
 ・ 他の生徒をからかっていた生徒を指導しようとしたところ、当該生徒が教員に暴言を吐きつばを吐いて逃げ出そうとしたため、生徒が落ち着くまでの数分間、肩を両手でつかんで壁へ押しつけ、制止させる。
 ・ 試合中に相手チームの選手とトラブルになり、殴りかかろうとする生徒を、押さえつけて制止させる。

まとめ:

冒頭でも書いた通り、子育て中は、子どもに対してイライラしたり感情的になったりしてしまうこともあると思います。しかし、そのような時に子どもに体罰を加えてしまうと、健全な発達を阻害してしまいます。 厚生労働省では体罰等によらない子育てを広げよう!という活動を行なっています。教育や子育てに悩んだら、こちらのパンフレットを参考にしてみてください。